作詞講座第一章 世界中の涙よ空に愛を歌え
① 音楽と時代
2000年のミレニアム、2009年 NYテロ、2011年 東北大震災、2019年 世界規模パンデミック、2024年 能登半島大地震、人間の想像を超えた出来事があるごとに時代は移ろい、人々はより窮屈に社会を生きるようになってしまったように感じられます。
テクノロジーの進化によりオンラインでのワークスタイルも一般化し、大学の授業までもがオンラインで行われる。
皇室の諸国訪問にファストファッションのあしらいで登場し一部の国民からは賞賛、一部からは尊厳が損なわれるとの懸念、これも時代の大きな動きなのでしょう。
正しさのラインが誰にもわからない時代に僕らは生きている。
音楽制作と言えば昔は大きなスタジオを数日貸し切り、生の楽器で一斉に音を出してレコーディングが行われていました。
今ではマンションの一室を防音施設にして、ボーカルブースを用意して、レコーディングされたCDがミリオンを突破してもおかしくない時代。
あらゆる価値観は崩壊しました。
高級な品物、職人の技が素晴らしいことは誰もが承知の上で、質素を徳とする考え方はこれからも増していくのでしょう。もともとの国民性に合っている考え方は質素な暮らしの方です。
音楽業界・アーティストも二分しているように見えます。
ファンタジー性を失わずエンターティメントを貫くアーティスト。
よりリアルな日常の叫びを歌うアーティスト。
どちらが正しいということではなく、歌に対しての喜びが多種多様になってきました。
この時代に万人を振り向かせるようなエナジー宿る音楽を制作するのはなかなか至難の業です。
もちろん日々レコーディングされ、発表されている様々なアーティストの歌はどれも素晴らしい。
それなのに、国民的ヒットはなかなか生まれにくい時代になっています。
そもそもCDを聴くことのできるデバイスを持っていないという若者も多い。
年配の方々であれば、日々の暮らしの中で音楽を聴くという習慣そのものがないという人々も増えています。
iPhone、androidの登場により、人々はSNSを追いかけることで大忙し。
時間の価値ばかりが上がり、5分の音楽でさえも、今の人々には徐長に感じられるのでしょう。
YouTubeにはスピードを設定する項目もありますので、さすがに音楽でそれはなくとも、ラジオ的な情報は2倍速で聴くことで時間を稼ぐ。
あまりにもせちがらく、いそがしい世の中です。
こんな時代の中で音楽制作者は何を描くべきか。
僕は自分が描く世界観は三つに絞っています。
①世の中に気づきを与える価値ある音楽
②夢、勇気、希望の光を闇に射す音楽
③刹那を描くエナジーに満ちた音楽
僕は作詞家ではありますが、自分の仕事は歌詞を書くことだけだとは思っていません。
音楽としてのパッケージで、最終的にどれだけ時代を経たとしても色あせたりしない音楽の言葉を紡ぐ。
それこそが作詞家の仕事であり、歌に与える価値であると確信しています。
作詞という技は実は極めを必要とする作業なのです。
たった一文字にも徹底的にこだわり、隙のない歌を描く。
それを言葉の組み合わせと勘違いする方もいますが、違います。
言葉を極めるのです。
言葉にエナジーを宿らせる。
字面だけで浮遊しているような歌詞は書かない。
それが作詞家の仕事の醍醐味。
時代の中で物事を簡単に考えてしまうような人々もかなり人口を増してきています。
僕もそうならないように、歌には真剣です。
どのような時代がこれから巡ろうとも、いつのときにも友達としてリスナーに寄り添う歌。
あらゆる時代の中で歌を書き続ける。
あなたにも僕が学んできた技術を教えます。
共に本物の歌について考えてみましょう。
それでは、ソングライティングセラピー作詞教室を始めましょう。
Makoto ATOZI