両極で描く世界

あらゆる色のコントラスト

ぼくが書いた平井堅「楽園」の歌詞に出てくる楽園はリスナーの期待を少し外した場所に描いてある。

いわゆるトロピカルな園のような楽園ではなく、心象風景として、色褪せようとも失われることのない楽園るコントラストの原色。

MVの印象から退廃的でセピアなイメージを描きながらも、本質として秘めているのは原色の赤。

 

この世界は両極で成り立っている。

ありきたりの上っ面だけを描くなら、平坦な日常が描かれてしまう。

 

メジャーとマイナーのコントラスト

悲しい歌を明るいメジャーキーの旋律で歌うとより切なさが胸にくる。

楽しい歌をダークテイストなマイナーキーで歌うと強さが胸にくる。

 

白だから白、黒だから黒としてしまうと、物事は味気ない。

どうしようもない人だと思っていた人の内側にある人情味を知ったとき、人生の深みを感じられることがある。その逆も然り。

 

たとえば「光」というタイトルで、ただ光ある場所で行きましょうという物語ではなく、闇から立ち上がろうとする懸命な姿を描く。

 

たとえば「嘆き」というタイトルで、嘆きを超えて、悲しみを超えて仲間として、ヒューマンとして生きる喜びを歌う。

 

人生は深ければ深いほどに面白い。

深いから低いという意味ではない。

高い場所にこそまた深みはある。

 

美しい歌にはコントラストがあり、ヒューマンな体温と天の輝きが両極として描かれている。

 

そんな歌をこれからも書いていきたい。

 

Makoto ATOZI