詩 フライト

作詞家 阿閉真琴 Blog
飛行機に乗せてくれ
チケット代はないけれど
それに代わるモノは持っている
いろんなものを捨ててきたけれど
それはあるんだ

棘のない薔薇と花々の国へ
そして太陽の丘に立ちたいんだ

ラブラドライトの河に
人々は沐浴をするだろう
僕はそこで一人の聖者に出会う
溢れ出すように詩は生まれるのさ

朝も昼も夜も
人々は映画を生きている
まるで動きを決められたエキストラ

アニメーションのようなコマは
自由に変えられるんだぜ?
それなのに映画の台本に
流されながら歌わせられている

夢は選びなよ

僕の胸元にプラチナの光
そしてラブラドライト
奇跡のメダルがある

あの日 僕は古城に入って
両手を縛られたジャンヌダルクを見た
またある日にはモンマルトルの丘から
家家の屋根の上に無数の十字架が見えた
コンコルドの地下鉄はパノラマのように
今も僕を呼んでいる

あの日 青空の下 画家が書いた雨の絵画
それを僕は手放してしまった
路上アーティストの仮面のリングも手放した
大切なものをいとも簡単に捨ててきた
「大馬鹿者のミニマリスト」さと
青春の初期衝動が叫んでいる

人生という空の下
二度とは戻らないモノたちを思う

大空を三和の鳥たちが羽ばたき見つめている
懐かしい音楽は歌い続ける

僕は運命の鎖を外し 映画のコマに光を充てる
一緒に行かないか?美しい国へ
争いのない場所さ 退屈だというのかい?

映画の物語は動き始めた
チケットは手にあるだろう

フライトの時間はもうすぐさ
記憶にあるジャンヌダルクの手を自由にしてあげよう
手放したものたちもこの心身に染み込んでいるさ

ラストシーンを描いて
羽ばたいてみようぜ

Makoto ATOZI